満月であれば深夜に寝間着のままふらふらと外歩きをするもやむを得ません。
時間が止まってしまっていたひとたちのことを思い出しました。
世界と対峙するのをやめたひとの時間は概ね止まります。
年齢よりも若く、幼く見えて。
死んではいないけれど、まっとうに生きているとも言い難いような。
それはたぶん、あまりしあわせなことではありません。
ことあるごとに死のうとして死に損ねていたひとがいました。
私はそのひとの助けにはなれませんでした。
最後に会ったときも、決して楽しそうにはしておられませんでした。
今はどうしておられるのでしょう。
今年の越後妻有「大地の芸術祭」サイトを見てうっかりトリエンナーレと勘違いし、先回からもう3年経ったのか、そんなものだったかなあと一瞬納得してしまいました。
どうも時間の感覚が怪しくなっています。
どこかでなにか、止まってしまっているような。
止まってしまっているのだろうか認識できなくなっているのだろうかとすこし考えてみますが、自分で自身の認識の正誤を正しく判断することができるとも思えません。
かつては、自分が触れたものごとの情報全てを記憶し、それらを時系列順に並べて常に認識し続けている状態が当然で、そうするのはとても容易なことでした。
閉じた世界を丁寧に構築していけば、それを続けるのは決して不可能なことではなかったかもしれません。
だけれどそうはしませんでした。
処理しきれない情報が日々増えていき、私はいつでも全てを把握することができません。
今年も越後妻有でお祭りをやっています。
越後妻有 大地の祭り 2008夏
8/1〜8/31。
3年に1度のトリエンナーレとは別のお祭りのようです。
滋賀会館の「迷宮ダンス・ツアー」で、ちいさなガイドさんに案内していただいたとき。
照明のない、足下の悪い場所を通りました。
「あしもとにだんさがあります、きをつけてください」
「はい」
「まっくらなので、ものをおとすといっかんのおわりです」
「一巻の終わりですか」
あやうく恋に落ちるところでした。
・「迷宮ダンス・ツアー」@滋賀会館
・8月7日から10日まで行われていたワークショップ、「建築とコンタクト」で制作された作品群です
・会館のそこここでダンスが行われており、ときどきぱちぱちと拍手が聞こえてくる、そういう状態
・C.土間(洗濯場)
・ガラス越しにダンスを眺めます
・反射がきつく、ガラスに映っている景色と演者さんが入り交じって見える状態でした
・いないと思っていたひとがふうっと現れ、いると見えたひとはただの反射する通行人で
・夕暮れ時という時間のせいか、蛍光灯に照らされた室内がよく映っていました
・そう見えることは狙いではなかったのかもしれませんが、不思議な光景でした
・A.女子トイレ
・ドアをフレームにして、その中でひとが動き回るような構図
・ふっと覗いてみたらなんか中が大変なことになってる!という印象
・お手洗いなのですが、ダンスがそこにあるせいで、汚いとか観るのが躊躇われるとかそういう印象が全くなくなっていました
・最もありふれた場所なだけに、「踊りによる場所の変容」を最も強く感じた場所でした
・踊りが終わってドアが閉まり、ふたたび開くとそこには先ほどまで演者であったひとがごく普通ににこにこと笑って「ありがとうございましたー」と挨拶してくる、という流れになっており、実に面妖な気分でした
・ついさっきまでそのひとは無言で奇妙なかたちで、ドアを隔てた向こうにあったのは紛れもなく異世界だったのですが
・H.大ホール舞台上
・真っ白の服を着て、真っ白の日傘を差し、花束を持った女性がゆるゆると歩いています
・白いメリーさんを連想しました
・演者さんだというのはわかるのですが、なにか目を合わせることが躊躇われ、どう接したものかわからないまま傍らを通り過ぎました
・はじまりもおわりもなく歩き続けている方に唐突に拍手をするわけにも、ずっと観ているわけにもいかず
・あとで聴いたところによると、80分間歩き続けておられたそうです
・終演後、ご本人に上記の「接しづらさ」を感想としてお話ししたところ、「よく話しかけづらいって言われるんです」と、なにやら考え込んでおられました
・ご本人にとっては不本意だったのでしょうか
・あの「接することを躊躇わせる空気」は、あってよいものだったと思っています
・歩いているだけなのに、通行人とは一線を画するなにか
・D.アナウンス席
・狭いところでやっておられたので、観客がひしめき合う形になってしまい、よく見えませんでした
・すこし間を置いて、別の回に見やすい場所で再度観ました
・左右には狭く見えましたが、上方向には空間が伸びており、そこを使って動きに幅を持たせておられました
・最後近くには床を使ってうごうごする動きがあったため、初回はよく見えませんでした
・観客に優しくない配置ではありました
・しかしながら、維新派ワークショップでの稽古の際私もこの場所をよく通り、この場所がとても好きでしたので、ここを選んだお気持ちはお察しします
・狭い場所は素敵です
・B.上手側ロビー(男子トイレ前)
・最もキャラクターと物語がはっきりした踊りでした
・鬱陶しいくらい仲の良いカップルと、女性に想いを寄せてものすごい勢いで苦悩する男性の3人組
・途中から観て、終わったのを観て一旦場を離れようとしたところ、演者のアミジロウさんから
「途中からでしたよね?よろしければすぐにもう一回やりましょうか」
と声を掛けていただき、立て続けに2回目を見せていただきました サービス精神に感激
・アミジロウさんは「旅の道連れ」にも出ておられました
・ぺらっとした、内面のあまりないキャラクター群なのかな、と見えたのですが、動きから立ち現れるものが色々あり、興味深く思いました
・どこまでが意図したもので、どこまでが制作者の意図しない、こちらが勝手に読み取ったものなのでしょう
・身体のみで表現することの、そういう微細な行間を発生させる余地はとても強いものだと思うのです
・ときに誤読を招くとしても
・F.舞台袖2階
・空がきれいでした
・動きながら観てくださいね、と言われたのですが、そうフットワーク軽く観られるものではなく、なんとなく所在なげに目をやる感じに
・アフタートークでも指摘がありましたが、観客に付いて来させるというのは相当な力量を求められる仕事のようです
・以前、栗東の「踊りに行くぜ!」のあと、jouさんが会場外を踊り回り、それを観客がついて回って観ていたのを思い出しました
・音楽があれば、あと大人数なら、状況はまた違ったかもしれません
・引力を発生させる動きというのは難しいものだと思いました
・最後の幕引きは好きでした
・G.舞台下廊下
・こんな場所もあったのですか
・階段を下りてすぐの細い廊下、突き当たりには鏡が張ってあるという不思議な空間
・天井に張り巡らされたパイプまで使って縦横無尽に動き回る演者さん
・なにかSFに描かれる未来のような印象を受けました
・重力がないような
・背の高い方が多かったのでしょうか 妙に縦に長い絵として記憶に残っています
・縦長のドアを枠として鑑賞するかたちでした その枠の影響もあるのかもしれません
・構図の面白さ、動きの面白さを堪能できました
・E.階段室
・階段の下から演者さんたちを見上げる構図
・階段の下から扉を見上げる構図はなんだか好きです
・これも上下への動きです
・3人の演者さんが上から下へと下りてきて、また上に上がって
・3人の間に意味のある関係性はないように見えていたのですが、最後にふたりが上がっていってドアを閉め、ひとりを締め出します
・そこで唐突にそれまで「動く機械」であったひとが内面を持ったようで、どきりとしました
・最後の最後にそのドアを内側から開けて、にっこり笑ったひとの顔が印象に残っています
・あれは物語の外側の笑顔だったのでしょうか、あそこも含めて「演技」だったのでしょうか
・舞台としては曖昧な場所のできごとで、ともすれば境界がよく揺らいで
・ほかの場所にもいえることです
・ガイドさん
・ちいさなガイドさんが館内を巡回しており、その方によく助けていただきました
・身長の半分ほどもあるやや長めの旗を持ち、それを振りながら館内のあちこちにある舞台を案内してくださいました
・小学4年生だそうです
・「滋賀会館クラブ」と書かれた旗でした ここには過去にどんなクラブがあったのでしょう
・ホスピタリティ溢れるガイドぶりで、すっかりファンになってしまいました
・ほぼ完璧な敬語を使われていたのも印象的でした
・アフタートーク
・とても楽しいイベントでした
・それとは関係なく、ここのところは定期的にやってくる「ひきこもりたい時期」に入っており、観ながらちょっとひとがこわいなあ、ひとに触るのはおそろしいことだなあ、それをやっている演者さん方はすごいなあ、という感想も抱いておりました
・なので、終わったら帰ってすぐにひきこもるつもりであったはずなのですが
・アフタートーク後の打ち上げに参加
・ひとみしりなのに、ワークショップに参加していないのに、ほぼ全員初対面なのに
・踊りの力か場の力か、その両方かに引っ張られました
・演者さん方に各種裏話なども聞けて、楽しく刺激的な時間を過ごすことができました
・じゅんじゅんさんがいくつかのチームと感想を交換しているのを伺えたり
・以前から大ファンの坂本公成さん、森裕子さんと同席できる機会が嬉しすぎてあわあわしたり
・滋賀会館の白崎さんも途中からいらっしゃいました
・数年前に白崎さんが来てから、滋賀会館はとても面白い場所になりました
・このさきひとが入れ替わって、大ホールの使用が停止になって、滋賀会館は変わってしまうのでしょうか
・何度も書きます、私はこの場所がほんとうに好きです
・終電ぎりぎりまで、日本各地から来られていたワークショップ参加者さんたちが名残を惜しんでおられました
・アフタートークで「場所との縁は仕方なくても、ひととの縁があれば、面白いことがまたできますよ」というおはなしがあったのを思い出しました
・とても楽しいイベントでした
・またこういう場に出会えればと思います
きゅうりのおいしい季節です。
ですが私は生のきゅうりが苦手です。
しかしながら家族はきゅうりが大好きで、この季節貯蔵庫はだいたいきゅうりだらけになります。
なんとか美味しくいただきたいものです。
ピクルスにしてみました。
こことここのレシピを参照し、あり合わせの材料で作ってみました。
・梅酢:200cc
・水:80cc
・ローリエ:2枚
・砂糖:小さじ3
・塩:小さじ2
・たかのつめ:ひとかけ
を小鍋で沸騰させ、冷まして瓶に入れます。
別途きゅうりを適当に切ってゆで、緑が鮮やかになってきてもういいかな、と思えたところで瓶に放り込みます。
半日ほどで完成。
最近は、できあがったものを刻んでマヨネーズであえ、タルタルソースのようにするのがお気に入りの食べ方です。
刻みトマトとチーズを加え、クレープ生地に包んでいただいたり。
ほか、刻んだピクルスを加えて肉、魚類のソースを作ると、暑い季節にもさっぱり賞味しやすいものができ、重宝しております。
存外簡単にできるので、おすすめです。
維新派ワークショップ 第8回@しが県民芸術創造館
・2週間ぶりです
・自分があからさまに鈍っていたらどうしようと、どきどき
・新作の台本が配られました
・今週は1曲目、M1のみ
・劇団員さんとWS参加者さん全員の名前が載っています 私のも どきどき
※本記述はあくまで個人的な練習メモです ネタばれにならないよう、なるたけ台本、特に物語内容には触れない記述を心がけますが、公演に関する前情報を得たくない方は、以降の閲覧を控えたほうがよいかもしれません
・非公開で書くべき内容でしょうか 要検討
・ざっと全体の説明を
・1曲目は94連、長さにして13、4分程度
・舞台はこんな構造になっていますよ、とか
・動きの概要とか
・ステップのみ踏んでみます
・9から13連
・これまでの練習で踏んだことのない入れ方
・しかしながら意外とできました うれしい
・14から20連
・何組かに分かれて、それぞれ自分のステップを踏みます
・急にミスだらけになりました
・「1拍に2歩」を踏もうとすると、うまくいきません
・正しく2歩入れるのではなく、地団駄を踏むようになってしまいます
・また、踏む以外の動作が加わるととたんに駄目になります
・私の場合、特に15連でつっかえます
・毎回同じ場所で引っかかる感じ
・ふっと音が取れなくなり、棒立ちになってしまう瞬間さえ出てきました
・この日は最後までこの練習に費やしましたが、結局一度もノーミスで通すことができませんでした
・正しい拍子が入ってくる瞬間はあったのですが、それが継続しませんでした
・反復の必要があります
・考えるのでは間に合いません、身体に叩き込まないと
・思いの外難易度の高いものが出てきて動揺しました
・このあときっと、何度か気持ちが折れかける瞬間が来るような気がしています
・それを鍛錬で補えるかどうか
・これまでのプログラムで、「できないことも、練習を重ねればできるようになる」ことを学びました
・それが今、とても大きく支えになっています
・今度だって、繰り返し繰り返し諦めなければ、きっと
・随分昔に、同じようなことをやったことがありました
・あのときはどうしていましたっけ
・かつて舞台に立っていたときの景色を思い出そうとしたのですが、どうやっても光の眩しさしか浮かんでこないのです
・「呼吸機械」記者会見@滋賀会館
・にぎやかし程度に隅にいようと行ってみたら、自分の席が用意されていてびっくり
・松本先生、県の方々のお話
・「〈彼〉と旅をする20世紀三部作」のうちの二部目です
・第一部は大阪南港で上演
・第三部はエジンバラでの上演予定
・第一部「nostalgia」は南米のおはなしでした 今回は東ヨーロッパです
・戦争孤児のおはなし
・先生は天草の出身で、自分の土地を捨てた「ゆるい難民」であるという意識があるとのこと
・旅、移動というのはひとつのキーになる要素のようです
・移動することと野外劇がかぶる
・聖書を素材にしています アベルとカイン
・舞台が水没します
・風の向き、例年の琵琶湖の水位などを地元のひとに聞いて舞台を作っています
・「ハクボの時間」という言葉がちょこちょこ出てきました
・帰って調べてみました 薄暮 一日のうちで最も光がきれいな瞬間 その時間
・この舞台は、その時間が終わってからはじまります
・開始時刻からして、観客の方は薄暮の時間を通って会場を訪れることになります
・タイトル「呼吸機械」
・身体は呼吸する機械である、というのを意識してやってみよう
・人間機械論
・人間は呼吸をするあつかましい機械だ、と、人間を揶揄するような意味合いも含めて
・琵琶湖を舞台としたとき、例えば前作「nostalgia」というタイトルをつけるとなじみすぎる 逆に琵琶湖とちょっと喧嘩するような、ミスマッチなタイトルにしたかった シュルレアリスムのミシンとこうもり傘のような出会い
・そういう意味合いとは別に、口・口・木・木の並びは単純にきれい
・色々言いましたが、タイトルにはこだわりすぎて欲しくない
・タイトルは前情報の、ましてや作品の全てではありません あくまで一部です
・他のワークショップ参加者さんたちのコメント
・皆さん、それぞれの理由があってここに参加されています
・ばらばらの理由を持つひとびとが集まっていることを面白く、また得難いことのように思いました
・おはなしはとても興味深いものでした
・それとは別に、自分はやはりひとの視線が怖い、人前に立ちたくない性質であることを認識しました
・それでも舞台に立つことを選びました
8月の第一週、うちにて「ヨーロッパ企画祭り」が開催されました。
「バック・トゥ・2000シリーズ」のDVDを借りてきたのでみんなで観ましょう、というほどのイベントです。
一番人気というか、話題になったのは映像特典の「へっちゃら男たち」でした。
我が家にて巻き起こる空前のへっちゃらブーム。
それと機を同じくして松本先生が以下の対談をされていて、ちょっとびっくりしました。
異色対談実現! <維新派/松本雄吉>VS<ヨーロッパ企画/上田誠>!