旅先で、フリーペーパーをもらってくるのが好きです。
観光地やお店の紹介、その土地のひとが書いたものたち。
その場所をすこし持ち帰るような気持ちで、鞄に入れて移動のおともにしたりします。
旅行が終わったあとも保管しておいて、ときどき眺めて懐かしんだりします。
そうしたものが結構な量お部屋に溜まっていたので、昨年末の大掃除に整理しました。
7年ほど昔のものまで混ざった、お寺の案内文、舞台のチラシ、大学の広報、さまざまな場所の様々な言葉たち。
いろいろなところに行ってきたものだと思いました。
私はいつだって全部忘れてしまいますから、ついこういうものをよすがにしてしまいます。
整理して、いくらかを処分して、いくらかを再度物入れにしまいました。
毎年、こうして読み返しては、少しずつ数を減らしています。
ほんとうは、これらは生活に必要のないものなのですから、潔く一切を捨ててしまったほうが合理的だと、わかってはいるのです。
ですがそれでも決心がつかず、このように中途半端な減量に留めてしまいます。
このように、削られるように減っていくのが、正しいような気がしています。
全てを覚えていることはできないけれど、忘れていくのはゆっくり、すこしずつにしたいのです。
どうやったっていつかは全部、なくしてしまうのだとしても。