書こうと思っていたことがありました。
ひとに話したら、書かずともよい気持ちになりました。
かつて、あなたはひとりでいたほうがよいとおっしゃってくださった方がありました。
そのほうがよいものが書けるから、と。
あなたのことは嫌いだけれど、あなたの書くものは好きだと言ってくださった方がありました。
嬉しかったのを、覚えています。
今はもう、誰だったのかも思い出せません。
そうして私はまたいつものようにいろいろなことを忘れてしまって、気付いたら随分書くことからも遠ざかってしまって、今となっては以前のように文章を掴まえるのがままならずどうにも言葉がまとまらず、このように支離滅裂な、朦朧とした譫言めいたものしか綴れないのですが、ですがそれでも、これだけは。
書いていれば、あなたと繋がっていられるのだと思っていました。
いつだって、たったひとり、あなたに向けてだけ、書いていました。
私は変わってしまいます。
もう、前のようなものは書けないのかもしれません。
ですが私はここにいます。
あなたがひとりだと感じることがあるときには、きっと。
私も、ここで同じようにひとりでいます。
あなたに宛てた、もう言葉にすることもできないなにかを抱えて、所在なげにちょっと笑ったりしながら。
そうしていつか、きっとまたあなたに宛てて。
あなたに宛てた、もう言葉にすることもできないなにかを抱えて、所在なげにちょっと笑ったりしながら。