無害で無力で無垢ないきものが理由もなく残虐な仕打ちに遭うただただ救いのない悪意に満ちたおはなしをつくりました。
もちろんどなたにもお見せしません。
悪趣味なおこないだと思います。
それでも、書かずにおられませんでした。
架空のいきものが惨く傷つけられる様子を書きながら、なにか、安心感を覚えていました。
私には、無力な生き物が強烈な悪意に晒されてぼろぼろになる物語が必要でした。
架空のいきものの死に救われました。癒されました。
物語をそのように使うのは、正しくない振る舞いのように思えます。
悪意を肯定するなんて、誰かが傷つくことで自分が救われようとするなんて、あってはならないことです。
そこまで考えて思い出します。
世界で最も多くのひとに読まれた書物に書かれた物語は、正しいひとが殺されることで読み手が救われるというものでした。
ひとを救うためにつくられたひと。
殺されるためにつくられたひと。
そのひとが生まれた日。
殺されるために。
クリスマスおめでとうございます!