昨日は、カメラを持って近所をうろうろしました。
ことあるごとに足を止めてはファインダーをのぞき、設定を変えてはシャッターを切って。
普段は10分ほどで通り過ぎてしまう道を、2時間かけて歩きました。
見上げれば空の色は刻々と変わり、電線の描くラインと雲の形を眺めるだけで飽きることはなくて。
看板のデザインも、街路樹の色も、足下に伸びる影も、あらためて見ると実に興味深い形をしていて。
やがて日が落ちるとどんどん景色から色が消えて、空気が街灯の光にぼうっと照らし出される様子はひどく幻想的で。
露出やフィルム感度を変えるたびに、異なる世界がいくらでもきらきらとカメラに映りこんでくるのが、なんだかまるで魔法のようで。
外気は冷たくて指先が痺れましたが、夢中でシャッターを切りました。
こんな普通の住宅街に、こんなにきれいなものがあったのかと思いました。
ファインダーから見える景色は、おとぎ話に出てくる、不思議の街のようでした。
私のいる場所は、とてもきれいな不思議の街なのだと思います。
カメラを持っていなくても、それは、いつだってそうなのだと思います。
ですがそれを再確認するのに、カメラは非常に有用です。