桃色は特に好きでも嫌いでもない色です。
好きでも嫌いでもないので、特に頓着なく職場で使うトラックボールを桃色のものにしていました。
鮮やかな濃桃色のジャケットを職場に着て行っていました。
黒も、緑も、茶色も青も同様に身につけてはいました。
職場に持って行ったものは偶々桃色のものが多くなっていた、それだけのことでした。
職場で花束をいただきました。
鮮やかな桃色、淡い薄紅、様々な桃色の花を集めて作られた、両手に余るほどの大きな花束。
これまでありがとう、おつかれさま、と。
あなたには桃色の印象があるから、と。
やさしい色合いの花たちは、ほのかに甘い香りがして。
特に桃色が好きなわけではありませんでした。
それでも、とても、とても嬉しく思いました。
泣いてしまいそうでしたので、軽く俯いて花束に顔を埋めて、すこし笑って。
柔らかな桃色の花たちを抱えて、次の場所へ移動します。