「新人さんが入ってきて、なんでも一から説明しなければならなくて」
「そうですか」
「たとえば、書類を渡して『みんなに配るからコピー取っておいて』って頼んで、『何部ですか?』っていうから、冗談で『1000部くらい取っておいたら?』って言ったら、『わかりました!』って言って本気で1000部印刷しはじめそうになるし」
「ああ、でもはじめてのうちはそんなものですよ、そう怒らなくても」
「私は怒っているのではなくて、嫉妬しているのよ。私にはこれができて彼女にはできないということに、迷いもなく素直に大量のコピーを取りに行ってしまう姿に、嫉妬しているのよ」