近所に、家が建っていました。
随分古びて屋根が崩れかかっている、木造平屋の一軒家。
ひとが住める様子とも思えませんが、夕暮れ時には明かりがついていることもありました。
誰がどのように使っていたものかは存じません。
その家が取り壊されかけていました。
防音のシートが周りに張られて、重機が半分ほど建物を壊したところのようです。
シートの隙間から工事の様子が見えましたので、そうっと覗いてみました。
壁が壊され、建物の中が見えるようになっていました。
屋根裏に、お酒か何かの紙パックがみっしりと置いてあるのが見えました。
尋常ではない数の何かが、みっしりと。
誰がどのように使っていたものかは存じません。
多分この先もあれが何であったのかわからないまま日々は過ぎて、やがてはあそこにどんな建物が建っていたのかも忘れてしまうのでしょう。