一昨日、新しくできた道をはじめて通りました。
前は畑か田んぼであった場所に通った広い道。
周辺の景色は刻々と姿を変えている途中で、一年前の面影はもはやなくて。
このあたりは新しい建物ができて新しい道が通って、どんどん変わっていく過程にある地域です。
思い出の風景がどんどん失われていくような気持ちになります。
そんな気持ちになるだけで、私にははじめから思い出の風景など存在しなかったことも思います。
ちいさいころから引越しが多く、同じ場所に長く留まることをしませんでした。
周囲の環境がころころ変わることに慣れていました。
人間関係の保持に情熱を傾ける性格でもありませんでした。
私には帰属した場所がありません、帰るところがありません。
いつもここにいますし、おそらくはずっとここにいます。
きっとこれからもこれまでどおりに何かが変わり続けて何も変わらないのです。
新しくできた道は綺麗で便利で、なのに眺めると寂しさが胸を突きます。
私は何も失ってはいないのですが。
失えるようなものなど、何も持ってはいないのですが。