定期的に自分はどうやっても世界の全てを知ることができないのだという事実に絶望します。
行きたい場所の影を見ることがあります。
もっと能力があれば、知識があれば時間があれば私はきっとそこに辿り着けるはずなのです。
だけれどそこに行くにはなにもかもが圧倒的に足りないのです。
ただの一瞬で構いません。
あそこに行けるのなら、そこにあるものに触れることができるなら、私はもうそこで生きるのをやめても構わないのです。
きっとそのためにそのためだけに私はここにあるのに、なのに、どう考えてもどうしても私が生きているうちにそこに届くことは叶わないのです。
なんてひどいこと。
だけれどいつかきっと誰かがそこに辿り着くのでしょう。
それを期待して思考の軌跡を記録します。
同じ場所を通ってもっと遠くを見ることができるひとが現れてくれますように。
ああ、もっと速く、もっと遠くに。
どうしても届かないのだとしても。
どこにも辿り着けないとしても。
すこしでも、近づくことができますように。